水性つや消し塗料の膜厚を計測

ワンダー 赤鬼 ドラゴン

2024年1月

マイクロファイバー・マイクロファイバー混紡・
ポリエステル製のローラーで膜厚を比較した結果、
水性つや有り塗料の場合、
マイクロファイバーのローラーは
膜厚が付きにくい傾向がありました。

↓下記のリンク先に傾向を記載しています。↓
2024年ローラー48種類のローラーマークと
膜厚・光沢・隠蔽・含みを比較/水性塗料

2024年【ローラー比較】弱溶剤Ver.

水性つや消し塗料も同じ傾向だろうと思い
2024年3月にテストした結果
水性つや有り塗料とは異なる結果になりました。

つや消し塗料の膜厚検証

比較するローラーは5種類。

A社 マイクロファイバー混紡
毛丈15ミリ

B社 マイクロファイバー混紡
毛丈20ミリ

C社 マイクロファイバー混紡
毛丈20ミリ

D社ポリエステル
毛丈21ミリ

E社 マイクロファイバー
毛丈20ミリ

使用した塗料は
水谷ペイントのナノコンポジットW。
(希釈は6%)

クリアファイル
塗り板はクリアファイルを使います。

上塗り1回目と上塗り2回目
上塗り1回目と上塗り2回目の塗膜を作ります。

膜厚測定 マイクロファイバー混紡
乾燥後 塗膜を綺麗に剥がし、膜厚を計測します。

膜厚の計測は
5回計測の平均と15回計測の平均です。

計測結果

毛丈 繊維 膜厚計測 5回平均 15回平均
A社上塗1回塗り 15 混紡 14.4・17.9・27.3・23.8・35.2
30.4・12.7・47.2・18.9・16.3
22.8・37.7・19.3・14.2・27.7
23μ 24μ
A社上塗2回塗り 15 混紡 38.8・43.7・53.0・37.6・44.3
44.4・61.0・63.0・53.0・53.0
39.7・44.8・51.0・62.0・48.2
44μ 50μ
B社上塗1回塗り 20 混紡 37.7・24.5・40.8・28.4・25.2
62.0・20.4・39.6・21.0・28.0
28.4・24.9・15.2・25.1・44.4
31μ 31μ
B社上塗2回塗り 20 混紡 48.8・58.0・47.3・66.0・48.7
49.6・66.0・63.0・46.9・49.9
51.0・63.0・78.0・81.0・100
54μ 61μ
C社上塗1回塗り 20 混紡 16.1・32.5・32.3・29.5・21.9
28.4・12.0・28.4・26.5・19.6
13.0・36.2・27.3・32.0・29.2
27μ 26μ
C社上塗2回塗り 20 混紡 42.3・42.6・74.0・59.0・42.6
46.0・77.0・49.0・62.0・41.4
33.1・54.0・64.0・31.4・54.0
52μ 51μ
D社上塗1回塗り 21 PL 29.3・26.0・25.0・26.3・20.1
18.6・32.1・18.0・21.8・40.8
61.0・24.8・31.5・20.6・32.3
26μ 29μ
D社上塗2回塗り 21 PL 49.2・63.0・48.8・68.0・57.0
80.0・48.5・85.0・45.0・58.0
65.0・76.0・127・51.0・70.0
57μ 66μ
E社上塗1回塗り 20 MF 39.4・26.8・53.0・23.5・20.2
13.6・32.6・16.5・19.6・21.6
16.0・21.2・19.8・42.1・28.8
32μ 26μ
E社上塗2回塗り 20 MF 52.0・62.0・49.0・46.0・54.0
58.0・41.1・47.6・57.0・62.0
62.0・54.0・54.0・49.4・64.0
53μ 54μ
混紡=マイクロファイバー混紡 
PL=ポリエステル
MF=マイクロファイバー

傾向

上塗り2回塗りの膜厚を確認すると、
水性つや有り塗料を用いたテストと同様、
D社
D社のポリエステルが66μと
膜厚が付きやすい傾向にありましたが、
B社
B社のマイクロファイバー混紡も61μと
差の無い結果でした。

E社
意外だったのが
E社のマイクロファイバーが54μと
B社とC社のマイクロファイバー混紡と
同等の膜厚でした。

同等だった理由は
水性つや消し塗料は
上塗り1回目の塗膜が光沢が低いため、
マイクロファイバーのローラーでも
塗料を乗せやすく、
上塗り2回目の塗布量が増えた分
膜厚が付いたと思われます。

近年
マイクロファイバーのローラーは
膜厚不足になりやすい。という
メーカーや同業者がいらっしゃいますが、
塗料によって異なるという傾向がわかり
サンプルをくださったメンバーや
メーカー様に感謝いたします。

マイクロファイバー混紡 A社
毛丈が違う
15ミリのA社のマイクロファイバー混紡も
50μ膜厚が付き優れたローラーだと感じます。

水性つや消し塗料とローラーの相性

ローラー
戸建ての塗り替えや近隣に車が多い場合は
飛散が少ないローラーが好まれますが、
塗布量(膜厚)や隠蔽力なども重要になり、
バランスに優れているローラーの選択が
必要になるため、
経験や知識・試し塗りが必須になります。

個人的には
平滑面の場合(さんとうばん/3✕10板など)は
膜厚不足になる可能性があるため、
飛散は多いですが、D社のポリエステルか
E社のマイクロファイバーを使用し
膜厚不足と感じた場合は、上塗り3回塗り

窯業系サイディングボードの場合
上塗り1回目を
E社のマイクロファイバーを使い
上塗り2回目に
B社のマイクロファイバー混紡
使い分けることもありますが、
B社のみで仕上げることもあります。

近隣に車などがあり、
飛散させたくない場合
C社のマイクロファイバー混紡を使用し
飛散を極力抑えます。
このローラーは飛散が少なく
大変優れたローラーですが、
上塗りの色を極端に変える場合は
試し塗りが必要かもしれません。

どのローラーも一長一短あり、
完璧なローラーはありません。

現場にあったローラーを選択し、
美観と保護を少しでも長く維持させたいですね。

以上、
「水性つや消し塗料の膜厚を計測」でした。



記事提出者:阿部塗装店

タイトルとURLをコピーしました